整骨院の差別化戦略の立て方がよく分からない方に向けて解説

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  • 「どこもかしこも整骨院だらけ…」 
  • 「どうすれば、たくさんの選択肢の中から自分の院を選んでもらえる?」

整骨院を開業されている先生や、これから開業を目指す方なら、こんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか?

コンビニよりも多いと言われる整骨院。
ただ腕が良いだけ、ただ開業しただけでは、残念ながら患者さんの目に留まりにくくなっているのが現実です。

そこで重要になるのが差別化戦略です。「戦略」と聞くと難しく感じるかもしれませんね。

そこで、経営やマーケティングの専門知識に明るくない方でもわかりやすいよう、治療院・パーソナルトレーニングの店舗運営のサポートを行っているJMTA(一般社団法人日本メディケアトレーナー協会)が解説します。

  • 思うように集客できない
  • 一見客が多く頭打ちになっている
  • 競合と差別化したい

「差別化」に奇抜なアイデアは必要ない

「差別化」とは、「他とは違う、あなたの院ならではの魅力や強み」のことです。

そして、その魅力を地域の人にしっかりと伝え、「〇〇で困ったら、あの整骨院だよね!」と思い出してもらい、選ばれる存在になるための工夫。
それが「差別化戦略」です。

決して、奇抜なことをする必要はありません。他にはない奇抜なアイデアも、ニーズがなければどうにもならないからです。

あなたの院が持っている強みを見つけ出し、それを必要としている人に届けることが重要なのです。

差別化戦略を立てるには?3ステップで考えてみよう

では、どうやって「自院ならではの魅力」を見つければいいのでしょうか?
簡単に、3つのステップで考えてみましょう。

①自分(自院)をよく見つめる

敵を知るにはまず味方から、とも言います。まずは自分自身と自院について、じっくり見つめ直してみましょう。

得意な施術や知識は?「腰痛治療なら自信がある!」
「スポーツ選手のケア経験が豊富だ」
「最新の〇〇治療器の知識なら負けない」
など、技術的な強みは何でしょうか?
どんな想いで仕事してる?なぜ整骨院を開業したのか、どんな人の力になりたいのか、その情熱や理念を言葉にしてみましょう。
院の雰囲気や設備は?「清潔感には自信がある」
「アットホームな雰囲気だ」
「最新のトレーニング機器がある」
など、院のハード面での特徴も書き出してみましょう。
苦手なことや弱い部分は?「自費診療メニューが弱い」
「スタッフが少ない」
「アクセスがあまり良くない」
など、弱点も客観的に把握しておくことが大切です。弱点を補う、あるいは強みでカバーする戦略につながります。

②周辺の状況(ライバルと地域)を把握する

次に、あなたの整骨院周りの環境を、できるだけ詳細にリサーチしましょう。

近所の整骨院はどんな感じ?どんな看板を出している?
ホームページには何が書いてある?
価格はどのくらい?
営業時間は?「〇〇専門」などを謳っている?
外から見た雰囲気は?
いつも混んでいる?
⇒ ライバルが「やっていないこと」や「手薄な分野」が見えてくるかもしれません。
あなたの院がある地域はどんな場所?住宅街? オフィス街? 学生街?高齢者が多い? 子育て世代が多い?
近くに大きなスポーツ施設や学校はある?
⇒ 地域住民が「どんなことで困っていそうか」「どんなサービスを求めていそうか」を想像してみましょう。

③ターゲットとなる人について深く考える

最後に、あなたが「本当に来てほしい」と思う患者さんについて具体的にイメージします。

「誰に」来てほしい?
(理想の患者さん像=ターゲット)
漠然と「痛みで困っている人」ではなく、もっと具体的に絞ってみましょう。
【例】
「部活動を本気で頑張る高校生」
「デスクワークで慢性的な肩こりに悩む30代女性」
「産後の骨盤の歪みが気になるママ」
「長年、膝の痛みに悩む70代の男性」など。
その人たちは「何に」一番困っていて「何を」求めている?単に痛みを取ってほしいだけ?
痛みの原因を知りたい?
再発しないためのアドバイスが欲しい?
リラックスできる空間を求めている?
仕事帰りや週末に通いたい?
子連れでも大丈夫?
⇒ ターゲットの悩みや希望にピンポイントで応えることが、選ばれる理由になります。

【具体例】整骨院の差別化アイデア集を紹介

上述したステップ1~3で見えてきた

  • 自分の強み
  • 地域のニーズ
  • ターゲットの悩み

を組み合わせて、具体的な差別化のアイデアを考えてみましょう。
参考となるように、ここではいくつかの切り口と例をご紹介します。

①得意な『施術メニュー』で差をつける

特定の症状・部位に特化「腰痛専門」
「肩こり・頭痛改善」
「膝痛専門」
「スポーツ障害特化」
「むちうち治療専門」など。
特定の技術・手技を前面に「〇〇式骨盤矯正」
「深層筋へのアプローチ」
「最新〇〇電気治療器導入」など。
自由診療メニューの充実保険診療だけでなく、より根本的な改善やコンディショニング、美容メニュー(小顔矯正など)を取り入れる。

②「こんな人は大歓迎!」とターゲットを絞る

特定の層に特化「産前産後ケア専門」
「アスリートサポート」
「子ども専門(成長痛など)」
「働く人のための夜間診療」
「シニア向けの健康サポート」など。
特定の原因に特化「交通事故治療ならおまかせください」
「デスクワークによる不調改善」
「ランニング障害でお悩みの方へ」など。

③居心地の良さや便利さで差をつける

予約・待ち時間の利便性「完全予約制で待ち時間ゼロ」
「LINEで簡単予約・変更」
「Web予約システム導入」
院内環境「清潔感あふれるカフェのような内装」
「アロマが香るリラックス空間」
「更衣室・パウダールーム完備」
「キッズスペースあり」
「バリアフリー設計」
立地・時間「駅徒歩〇分」「駐車場〇台完備」
「早朝7時から受付」
「夜9時まで診療」
「土日・祝日も診療」

④『プラスαの価値』を提供する

情報提供・教育「自宅でできる簡単ストレッチ指導」
「健康に関するニュースレター発行」
「定期的な健康セミナー開催」
アフターフォロー「施術後の状態確認連絡」
「定期的なメンテナンスの提案」「LINEでのセルフケアサポート」
「ZOOMで遠隔指導を月1回」
他サービスとの連携「併設のトレーニングジム利用可」
「栄養士による食事アドバイス」
「鍼灸やマッサージなどのリラクゼーションメニューも提供」

⑤院長・スタッフの人柄や想いを伝える

ストーリー「元プロスポーツ選手だった経験を活かした施術」
「現役○○だからよく分かる」
「長年の自身の腰痛を克服した経験から…」など、共感を呼ぶストーリーを発信する。
理念・情熱「地域の健康寿命を延ばしたい」
「一人ひとりの患者さんとじっくり向き合いたい」
といった想いを伝える。
キャラクター親しみやすさ、頼りがい、専門知識の豊富さなど、あなた自身の個性を前面に出す。

≪価格での差別化は慎重に!≫

 「安さ」を売りにするのは分かりやすいですが、安易な価格競争は経営を圧迫し、サービスの質を低下させかねません。

価格で勝負するのではなく、上記のような価値を高めることで選ばれることを目指しましょう。

差別化をアピールする方法も戦略的に

せっかくの「強み」も、伝わらなければ意味がありません。
複数の手段で、繰り返し伝えたいメッセージを打ち出しましょう。

たとえば、よく用いられているのは以下のような手段です。

  • ホームページ・ブログで専門性や院の雰囲気、患者さんの声などを詳しく掲載する。
  • SNS (Instagram、Facebook、X、LINEなど)で日々の整骨院の様子、健康情報、キャンペーン情報などを写真や動画といった視覚情報を駆使して発信する。
  • 看板・チラシに「〇〇専門」「△△なら当院へ」など、強みを分かりやすく、キャッチーな言葉で伝える。
  • 貼り紙・ニュースレターを待合室などに用意し、院の特徴や健康情報を伝える。
  • 来てくれた患者さまに、正直な感想(口コミ投稿)や紹介をお願いしてみる。

大切なのは、ターゲットにしている患者さまがよく見る媒体で、一貫したメッセージを発信し続けることです。

ターゲット層の年齢や性別などをもとに、最も情報を届けやすい媒体を選んで積極的にアピールしましょう。

差別化戦略を進める上で大切なこと

最後に、差別化戦略を進める上で忘れてはいけない2つのポイントについて解説します。

基本を大切にする

どんなにユニークな戦略を立てられたとしても、施術が丁寧でなかったり、院内が不潔だったり、スタッフの対応が悪かったりしては本末転倒です。

  • 確かな技術
  • 清潔感
  • 心地よいコミュニケーション

といった基本を大切にすることを忘れてはいけません。

やりっぱなしにしない

差別化戦略は、一度決めたらそれで終わりではありません。実施してみて、患者さんの反応はどうだったか、効果はあったかを確認し、必要であれば改善を続けていくことが重要です。

PDCAサイクルを回し続けることを大切にしましょう。

まとめ

整骨院の差別化戦略は、決して難しいことばかりではありません。

  • 自分の得意なことは何か?
  • どんな人の役に立ちたいのか?
  • 周りの院と少し違う、自院の良さはどこにあるか?

こんな風に、1つ1つ洗い出す作業を積み重ねていきましょう。

ここで紹介したステップやアイデアを参考に、まずは1つでも「これならできそう!」ということからチャレンジしてみませんか?

もし、開業や集客で不安なことがある方は、JMTAへご相談ください。
1人整骨院から紆余曲折を経てASFiTの店舗展開を成功させた経験から、お伝えできることがあると思います。