- 「整体師になって、いつか自分の整体院を持ちたい」
- 「事業を始めるには、何をすればいいんだろう?」
こんな想いを抱いていませんか?
自分の店舗を持ち、経営を成功させるためには、事前の準備が非常に重要です。
そこで、ゼロから始める整体院の開業準備について、ケアもトレーニングもできる『メディケアトレーナー』の育成を行うJMTA(一般社団法人日本メディケアトレーナー協会)が解説しましょう。
整体院開業までの具体的な4つの手順

まずは、何から手をつければいいか分からない…という方のために、開業までの道のりを5つのステップに分けて、時系列で分かりやすく解説します。
①事業計画書を作成する
整体院を開業する際、漠然としたイメージだけでなく、具体的な計画を立てることが成功への第1歩。その計画を整理するのに役立つのが、「5W2H」のフレームワークです。
5W2Hとは、「いつ、どこで、誰に、何を、なぜ、どのように、いくらで」を整理する思考法。
このフレームワークに沿って書き出すことで、あなたの整体院のビジネスモデルを明確化でき、説得力のある事業計画書の作成につながります。さっそく、各項目をどう活用するか見ていきましょう。
フレームワーク | 目的 | 具体的な例 | |
What | 何を | 提供するサービス内容を明確にする | ・「慢性的な肩こり」に悩むデスクワーカー向けの、姿勢改善とマッサージを組み合わせた施術 |
Who | 誰に | ターゲットを具体的に設定する | ・「長時間デスクワークをする、40〜50代の会社員」(慢性的な肩こり) |
Why | なぜ | 競合との差別化ポイントや強みを明確にする | ・「なぜこのサービスを?」⇒自身のデスクワーク経験から、同じ悩みを持つ人の力になりたいと考えたため。(慢性的な肩こり) ・「なぜあなたが?」⇒○年以上の修行で培った確かな技術力と、お客さま1人1人に寄り添う丁寧なカウンセリングが強みだから。 |
When | いつ | 開業スケジュールや営業時間を決める | 20XX年4月に開業。営業時間は忙しい会社員も通いやすいよう、平日11:00〜21:00、土日祝は10:00〜18:00とする。 |
Where | どこで | 店舗の立地を決める | ターゲットの会社員が通いやすいよう、駅近のオフィス街や、駅周辺の商業施設の中。 |
How | どのように | 集客や施術の具体的な実行方法を計画する | ・集客方法:開業から3ヶ月間は、SNSと地域密着型のチラシ配布で認知度を上げる。 ・施術方法:1回の施術時間は60分。初回のカウンセリングを特に重視し、お客さま1人1人に合わせた施術プランを提案する。 |
How Much | いくらで | 料金設定や資金計画を立てる | ・料金設定:競合の価格帯を調査し、60分7,000円、初回限定で3,000円とする。 ・資金計画:開業費用総額は500万円。自己資金200万円、残り300万円は日本政策金融公庫から融資を受ける計画とする。 |
②物件選びと内装・備品の手配
整体院を開く物件を探します。立地条件は集客に関わる非常に重要なポイントです。
- ターゲットが通いやすい場所
- 駅からの距離
- 周辺の環境
などを考慮して検討する必要があります。
物件が決まったら、コンセプトに沿った内装を考え、
- 施術ベッド
- タオル
- 受付カウンター
- 待合室の椅子
- パソコン
- 予約システム
等々、必要な備品をリストアップして準備しましょう。
≪開業形態の比較≫
メリット | デメリット | |
テナント開業 | ・立地を考えて選びやすい・集客しやすい ・社会的信用度が高い | ・初期費用とランニングコストが高い |
自宅開業 | ・ランニングコストが安い ・通勤時間がゼロ ・家族と過ごす時間が増える | ・集客が難しい ・公私混同しやすい ・生活感が出やすく信頼性を損なう可能性がある |
マンションの一室で開業 | ・テナントより初期費用を抑えられる | ・テナントより集客力は劣る ・住居専用物件だと「事業利用不可」の場合がある ・住民への配慮が必要 |
③開業手続きを行う
開院の準備が整ったら、以下の開業手続きを提出しましょう。
- 開業届の提出
事業を開始した日から1ヶ月以内に、管轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。 - 青色申告承認申請書
開業届と一緒に提出するのがおすすめです。節税効果の高い「青色申告」が可能になります。
④集客の準備
好調なスタートを切るためにも、開業前から集客の準備を始めることが重要です。
以下のような方法で、整体院の認知度向上を図りましょう。
- ホームページ開設
- Googleビジネスプロフィールへの登録
- SNSアカウントの開設
- チラシ・ショップカードの作成
整体院開業にかかる費用は?
さて、開業にあたって最も気になるのが「お金」の話。ここでは、必要な費用の内訳と相場、そして費用を抑えるためのポイントを解説します。
費用内訳と目安
かかる費用の内訳と目安を「初期費用」と「運転資金」に分け、以下の表にまとめています。
内容 | ||
初期費用 | 物件取得費 | 家賃の6ヶ月〜10ヶ月分(敷金、礼金、保証金など) |
内装工事費 | 壁紙、床、照明、看板設置など | |
備品購入費 | 施術ベッド、リネン類、受付カウンター、PCなど | |
広告宣伝費 | HP制作、チラシ印刷、プレオープン費用など | |
合計 | 300万円~1000万円程度 | |
運転資金 | 家賃 | 物件の賃料 |
水道光熱費 | 電気、水道、ガス、インターネットなど | |
広告宣伝費 | Web広告、チラシなど | |
その他雑費 | 消耗品、交通費など | |
合計(月々) | 20~50万円程度 |
※上記はあくまで目安です。立地や規模、開業形態によっても大きく変動します。
※運転資金は、売上が安定するまでの期間(最低半年分)を初期費用とは別に用意しておきましょう。自身の生活費を確保しておくことも忘れずに。
できるだけ費用を抑えて開業するためには?
初期費用やランニングコストの掛けすぎは、後々経営を圧迫しかねません。
できる限り費用を抑えて開業するためのポイントを3つ紹介します。
居抜き物件を探す
前のテナントの内装や設備をそのまま使えるため、内装工事費を大幅に削減できます。
ただし、イメージ通りの内装にしたいのであれば、スケルトン物件をおすすめします。
自宅の一部を改装して開業する
初期費用もランニングコストも抑えられる方法です。ただし、立地条件や人通りの少なさが原因となり、集客に苦労する可能性があります。
また、1日の施術患者数も制限されるため、どんどん稼ぎたい、事業を大きくしていきたいと考える方にはおすすめできません。これは、マンションの一室を借りる場合も同様の点に注意する必要があります。
一人で開業する
スタッフを雇わないことで、1日に対応できる人数は限られるものの、最も大きなコストである人件費をゼロにできます。
予約システムや決済システムなどを活用することで受付業務を自動化でき、1人でも効率的に運営できるでしょう。
補助金・助成金を活用する
国や自治体が提供する「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」などの補助金・助成金が利用できる場合があります。地域の商工会議所などに相談してみましょう。
開業前後の集客とリピート率アップのコツ
整体院の開業前後で予算に余裕がなくても、無料ツール等を利用して効果的に集客する方法はたくさんあります。
初期費用や月々の広告費を抑え、地道な努力と工夫で顧客を獲得するためのポイントを3つご紹介しましょう。
①【WEB集客】HP制作+無料で始められるツールを活用
今や集客の主戦場はオンラインです。以下の方法を利用して、集客効果を高めていきましょう。
ホームページ制作
ホームページは整体院の「顔」であり、集客において重要なツールです。
見込み客は、施術を受ける前にインターネットで情報収集をします。その時に、しっかりしたホームページを用意していれば、お客さまは不安なく来院できます。
オンライン予約システムや問い合わせフォームを設置することで、お客さまの取りこぼし防止にもつながるでしょう。予算に余裕がなくても、ホームページ制作にはできるだけ力を入れておきたいところです。
Googleビジネスプロフィール
整体院を開業したら、まず登録すべきとも言える重要ツールで、無料で簡単に登録できます。
Googleビジネスプロフィールを運用することで、Google検索やGoogleマップで「(地名) 整体」と検索された際に、あなたの整体院の情報(住所、電話番号、営業時間、レビューなど)が上位に表示されやすくなります。
お客さまが来院するきっかけの多くがここから生まれるため、定期的に情報を更新しましょう。
SNS(Instagram, LINEなど)
ターゲット層に合わせたSNS(Instagram、Facebook,、Xなど)に登録し、日々の施術の様子や、お客さまの体の悩みに対するアドバイス、院の雰囲気などを写真や動画で発信しましょう。
また、LINE公式アカウントを運用すれば、リピーター向けに限定クーポンを配信したり、予約の連絡をしたりと、顧客との関係構築に役立つので便利です。
どのSNSも基本的に無料で利用できるので、積極的に活用していくといいでしょう。
ブログ運用
ホームページ内にブログを立ち上げ、「肩こり 解消 ストレッチ」といった、お客さまの悩みに直結するキーワードをもとに、役立つ情報をコツコツ発信しましょう。
良質なコンテンツを継続的に発信することで、検索エンジンからの流入(SEO)が増え、無料で新規顧客を獲得できる機会が増えます。
②【オフライン集客】地域住民へ直接アプローチ
WEB集客だけでなく、地域の人々に直接アプローチすることも非常に重要です。WEB集客と合わせて、以下のような活動も行っていくといいでしょう。
近隣へのチラシ・ポスティング
特に開業初期は、近隣住民に存在を知ってもらうことが最優先です。チラシの配布やポスティングを行っていきましょう。チラシはテンプレートを利用することで自作しやすくなり、作成費用を抑えられます。
「初回限定割引」などの特典や、ホームページに誘導できるQRコードをつけると、来院のきっかけを作りやすくなるでしょう。
地域のお店との連携
近隣の飲食店や美容室などと関係を築くことで、お互いのサービスを紹介しあう連携が生まれることもあります。
地域コミュニティに積極的に参加し、顔と名前を覚えてもらいましょう。
③【リピーター集客】既存顧客をファンにする
新規顧客の獲得にはコストがかかります。既存のお客さまを大切にすることが、収益を確保する上で非常に効果的な集客となります。
施術後の丁寧なフォロー
施術後に、体の状態や日常生活で気をつけるべきことなどをアドバイスし、お客さまの健康に対する意識を高めましょう。
また、次回の予約を促すだけでなく、予約をしない場合でも「何かあればいつでもご連絡ください」と伝えることで、安心感を与え、信頼関係を築けます。
紹介キャンペーン
既存のお客さまに、ご友人やご家族を紹介してもらうキャンペーンを実施するのも効果的です。紹介した側、紹介された側の双方に割引特典をつけることで、口コミが広がりやすくなります。
LINEやメールでの継続的な情報発信
来院がない期間も、健康情報やキャンペーン情報等を発信することで、整体院の存在を思い出してもらうきっかけ作りになります。継続的なフォローで、リピート率向上に取り組んでいきましょう。
まとめ
整体院の開業は、多くの手続きや準備が必要で、決して楽な道のりではありません。
しかし、1つ1つのステップを着実にクリアしていけば、必ず道は開けます。
失敗する人の多くは、準備不足が原因です。
焦らず、しっかり準備して、あなたの整体院の成功率を高めていきましょう。